体感インフレ率を計算してみた

2026-05-03

Gemini インフレ 経済

記事タイトル「体感インフレ率を計算してみた」と、家計簿やデータを分析して驚くアニメ風の男性キャラクターとAIロボットのイラスト
「最近、何を買っても高いな……」 そう感じているのは、あなただけではありません。でも、ニュースで流れる「物価上昇率は2%」という数字、正直言って「そんなわけないだろ!」と思いませんか?

私もずっとモヤモヤしていたのですが、ある動画を見てその理由がスッキリ解決しました。
きっかけは以下の動画です。





この動画の中で、元ゴールドマン・サックスのおーちゃんさんが語っていた「統計上のインフレと体感のズレ」という視点が、投資家として、そして一生活者として衝撃的だったんです。

特に驚いたのが、統計の裏側にある「品質調整(ヘドニック法)」という仕組みです。


なぜ「公式のインフレ率」と「自分の財布」はこれほどズレるのか?

公式の消費者物価指数(CPI)が実態よりマイルドに見えるのには、主に3つの理由があります。
特に驚いた(というか、え、そんなのあり?と思った)のが、統計の裏側にある「品質調整(ヘドニック法)」という仕組みです。


品質調整(ヘドニック法)の罠【ここが重要!】 

例えば、12万円だったスマホが14万円に値上がりしたとします。普通に考えれば2万円の値上げですよね? ところが、統計上は「カメラの性能が上がった」「チップが速くなった」という性能アップ分を差し引いて計算します。もし性能向上分が2.5万円分あると判定されたら、価格が2万円上がっていても、統計上は「5,000円の値下がり」として処理されてしまうんです。 「いや、実際に払う現金は2万円増えてるんだから、値下がりって言われても!」と思いませんか?これが私たちの財布の痛みと、公式データのズレを生む最大の要因です。

持ち家の「仮想家賃」 

持ち家の人の住居費は「もし自分の家を人に貸したら?」という仮想の家賃(帰属家賃)で計算されます。実際の住宅ローン金利の上昇や、固定資産税・管理費の増加がダイレクトに反映されにくい構造になっています。

ステルス値上げ(シュリンクフレーション)

値段は据え置きでも、内容量が減っているアレです。これらも統計には反映されますが、日常の「支払額が変わらない」という感覚に紛れて、実質的なインフレを見えにくくさせています。


【実践】AI(Gemini)を使って5分で「自分専用インフレ率」を出す方法

動画の中では、「公式の数字を信じるのではなく、自分自身の体感インフレ率を算出して、今後の資産形成の計画に織り込んだ方がいい」という非常に重要な指摘がありました。

NISAや株で5%のリターンが出ていても、自分の生活コストが年6%で上がっていたら、資産の価値は実質的に目減りしていることになります。自分の「真のリターン」を知るためには、自分専用の物価指標が必要なのです。

「でも、計算なんて面倒そう……」と思ったのですが、Geminiを使えば驚くほど簡単にできました。私が行った手順を詳しく公開します。


手順1:家計簿データを用意する

家計簿アプリ「マネーフォワード ME」のPC Web版にログインします。 [家計]タブの[収支]から、月ごとのデータをExcel形式でダウンロードできます。今回は比較のために過去数年分を用意しました。

一度に一か月分しかダウンロードできないので、少し面倒です。ここは私の場合は数年分程度なので力技でやってしまいます。今回は2022年~2025年を利用しました。

手順2:Geminiにファイルをアップロードする

ダウンロードしたファイルをGemini(GoogleのAI)のチャット欄に直接アップロードします。一度に10ファイルしかアップできないので、10個ずつファイルを添付していく旨を指示して、1つめ、2つめ、・・・という要領で順にアップロードしていきます。

手順3:AIに分析を指示する

以下のようなプロンプト(指示)を入力するだけです。


  1. 添付の家計データから、2022年と2025年の平均支出を比較して、項目別の累計上昇率を計算してください。自分の体感インフレ率を知りたいので、わかりやすい比較表を作成して。また、トータルで見て各年の平均の年間インフレ率も出してください。

これだけで、複雑な計算を自分ですることなく、一瞬であなたの人生の「真のインフレ率」が可視化されます。


私の計算結果

実際にAIに計算させた私のデータがこちらです。


支出項目 2023年
(前年比)
2024年
(前年比)
2025年
(前年比)
3年間累計
(22→25)
年平均
上昇率
食費 +20.5% +10.8% +5.5% +40.8% +12.3%
衣服・美容 +60.2% -0.1% +139.9% +318.8% +73.9%
日用品 +35.0% +86.1% -18.1% +105.8% +34.3%
健康・医療 +167.5% -11.1% -33.3% +58.8% +16.7%
通信費 +5.6% -2.7% +24.9% +28.3% +9.3%
住宅 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
水道・光熱費 -3.7% +1.7% -6.3% -8.3% -2.8%
保険 +37.2% -43.3% -2.1% -23.8% -8.1%
家計全体のインフレ率 +36.1% +3.3% -4.1% +34.8% +11.8%

※2022年度の平均支出を100とした場合の前年比および累計。家計全体には上記以外の雑費等を含む。



住宅費などが一定でも、全体で約35%も支出が増えていました。

こちらの表の増減はもちろん一時的な支出増もありますので、平均を見た方がいいです。
食料品などは思った以上にきれいに出ましたね。
思った以上に体感に近い数字になったような気はします。

株や新NISAで「資産が増えた!」と喜んでいましたが、このインフレ率を考えると、「将来買えるものの量(購買力)」は思った以上に増えていないという残酷な現実が見えてきました。投資で資産が名目値で増加しているからと言って油断できる状況ではないことは理解しました。


公式のCPIと体感インフレ率との比較

「自分の支出が増えたのは、単に買いすぎただけじゃないの?」……そう思う方もいるかもしれません。

そこで、総務省が発表している「公式の消費者物価指数(CPI)」の項目別データと、私の家計簿から算出した「体感インフレ率」を年次推移で並べてみました。

政府が掲げる「2%」という目標値が、いかに私たちの実生活のコスト感覚と切り離されているか、そして投資家としてなぜ「独自の物価指標」を持つべきなのかが、この表を見れば一目でわかります。


日本の公式CPI vs 私の体感インフレ率(比較表)

支出項目 区分 2023年
(前年比)
2024年
(前年比)
2025年
(前年比)
3年間累計
(22→25)
食費(食料) 公式 +8.1% +4.3% +6.8% +20.8%
体感 +20.5% +10.8% +5.5% +40.8%
衣服・美容(被服及び履物) 公式 +3.6% +3.5% +3.0% +10.4%
体感 +60.2% -0.1% +161.7% +318.8%
日用品(家具・家事用品) 公式 +7.9% +3.9% +3.2% +15.9%
体感 +35.0% +86.1% -18.1% +105.8%
健康・医療(保健医療) 公式 +1.9% +1.6% +1.5% +5.1%
体感 +167.5% -11.1% -33.3% +58.8%
通信費(通信) 公式 +1.2% +1.7% +2.1% +5.1%
体感 +5.6% -2.7% +24.9% +28.3%
住宅(家賃) 公式 +0.1% +0.2% +0.3% +0.6%
体感 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
水道・光熱費(光熱・水道) 公式 -6.7% +4.9% +2.5% +0.4%
体感 -3.7% +1.7% -6.3% -8.3%
保険(諸雑費) 公式 +1.4% +1.2% +1.0% +3.6%
体感 +37.2% -43.3% -2.1% -23.8%
家計全体のインフレ率 公式(総合) +3.2% +2.7% +3.2% +9.4%
体感(合計) +36.1% +3.3% -4.1% +34.8%

※「公式」は総務省統計局発表の消費者物価指数(各分類)を参照。



この比較から見えてきた「不都合な真実」
この表をじっくり眺めてみて、私が特に「これはマズい」と感じたポイントは3つです。

通信費の「実質的な」値上がり

公式のCPIでは通信費は微増に留まっていますが、私の体感では28.3%もの上昇です。確かに2021年の各社通信料の値下げにより大幅に通信料が下がったことは理解します。しかし、近年スマホ料金が高くなっていたりする分はこれに反映されているように見えません。これは、スマホの通信料そのものよりも、サブスクリプションの増加やデバイスの買い替え、データ使用量の増大といった「生活スタイルの変化」によるコスト増を、統計が拾いきれていない証拠ではないでしょうか。また、この時代になっても未だにスマホやPCを個別の項目として分けていないことに危機感を覚えました。

食費という「逃げられない出費」

食費は公式の2倍近いペース(+40.8%)になっています。これらは「品質が良くなったから実質値下げ」という理屈が通用しない、文字通りのキャッシュアウトです。

資産形成の「足し算」が合わない

3年間の累計で、公式CPIが約9.4%の上昇であるのに対し、私の家計は34.8%増。もし新NISAで年利5%の利益を出していても、3年間のリターンは約15.8%です。つまり、運用益よりも支出増のスピードが圧倒的に速く、「数字上は資産が増えているのに、将来買えるものの量は減っている」という実質赤字の状態に陥っているのです。


政府の発表する「2%」という数字は、経済の健康診断としては意味があるかもしれません。しかし、私たち個人が老後や将来の計画を立てる上では、「自分自身の財布で測るインフレ率」だけが唯一信頼できる羅針盤になります。



投資家なら「データの蓄積」を武器にしよう

今回の計算をして痛感したのは、「過去の自分のデータ」こそが、将来の計画を立てるための最強の武器になるということです。

投資家であれば、確定申告用の書類や家計の収支データを、毎年必ずGoogleドライブなどのクラウドに貯めておくことを強くおすすめします。

数年分のデータがストックされていれば、今回のようにAIを使っていつでも「自分の実質的な利回り」を正確に把握できます。データがあれば、インフレに対抗するために「もっと利回りを狙うべきか」「支出のどこを削るべきか」という戦略が、勘ではなく数字で立てられるようになります。

公式の「2%」という数字に安心せず、ぜひ皆さんも自分の家計簿をAIに読み込ませて、「自分専用のCPI」を算出してみてください。

本当の資産形成は、自分の足元(家計)の数字を知ることから始まります。